VOICE vol.05|Pagina Itarian fire-works+cafe シェフ 釘尾 太樹

VOICE vol.05|Pagina Itarian fire-works+cafe シェフ 釘尾 太樹

情熱的で、文化的な心ある街の人の声の最大化に務める企画「VOICE」。第5回の街の人は、「窯焼きパスタのボルケーノ」などがヒットメニューとなった栄の人気イタリアン「Pagina Italian fire-works+cafe」のシェフを務める釘尾 太樹さんです。

料理人を目指すきっかけとなった原体験や、ヒットメニューの作り方、コロナ禍における飲食店運営など、さまざまなことを伺いました。

VOICE vol.05|Pagina Itarian fire-works+cafe シェフ 釘尾 太樹

 

ーー料理人になろうと思った原体験について

具体的に何か、よしやろうっていうふうに決めたわけじゃなくて、実は僕の母が、すごい料理、下手くそなんですよ。で、結構僕が作ることが多くて。そしたらもう僕の生活の一部になって、料理するのが。結構、友達呼んでご飯作ったり、それこそバレンタインのお返しでも料理作ったりしてて。そうやってたら楽しくなっちゃって。

高校のときに居酒屋でバイトしてたんですけど、そこの大将が、若いときなんですけど結構厳しくて。すごい真剣に向き合ってくれたんです、僕と。ミスしたりとか、料理間違えたりとかしたら、すごく真剣に向き合ってくれて。

その人と働いてて、飲食店で働くことが、楽しさとかいろんなことを知って、お世話になったんで、いつかその人に恩返しできたらなと思って、高校卒業してからまたやったんですけど。そしたらまた新しいシェフに出会って、いろんな業者さんに出会ったり、いろんな関係者の方とか友達とか、知り合うことが多くなってきて、より恩返ししたい場がどんどん増えてきて、結果、ずっと続けてるみたいな感じです。

 

頑張って作ったものがお客さんにおいしいよって言われたら、やっぱりもう最高っすよね

ーーシェフのやりがいとは?

月並みと言ったらあれですけど、やっぱりお客さんにおいしいって言ってもらって、喜んでもらうっていうのが、何より一番やりがいを感じますね。そこに行くまでにはいろんな過程があって。

シェフの仕事、料理人の仕事ってすごく面白い仕事で、一般的な会社だと、例えば何か案を出して、企画をして、リサーチをして、検証して実験して、それを販売して、マーケティングとかもいろいろあると思うんですけど。そういうのを全部、自分一人で完結できるんですよ。自分一人で何か考えて、いざバッて出して、失敗して。もう毎日毎日失敗して。

すごい大変なんですけど、いざお客さんに出して、それを、頑張って作ったものがお客さんにおいしいよって言われたら、やっぱりもう最高っすよね。

ーーPaginaさんはどのようなお店?

うちのテーマは薪焼き、お肉焼くにしてもピザ焼くにしても、全て薪を使ってやってるんですね。木を燃やしてそれを焼いて、お肉なんかはすごくジューシーにあがるし、ちょっと煙で燻されて、香りが付くんですね。薫製みたいな。そうするともう、ソース要らない。本当に塩だけで十分おいしいし。

ピザも、生地から一から作ってるんですけど、薪を燃やした高温の窯で一気に焼くので、ふっくらしてもちもちで、すごいおいしいですよ。

ーーシチュエーションでこのお店を利用してほしいですか?

オープン当初は、やっぱり、こんなお客さんに来てもらいたいねとか、コンセプトというかテーマというか、そういうのをいろいろ考えてはいたんですけど。いざお店をオープンしましたってなって、やったときに、いろんなニーズで来てくれるお客さんがいて。

それこそデートもそうだし、友達とか、何気ない会食というか食事もそうだし、合コンとか会社の方の宴会とか接待とか、そういうのも来てくれるんですけど。本当に何でも、どんなシーンでも使えるし、どんな方にも僕たちはサービスを提供したいと思っているので、どんなシチュエーションっていうのは。

でも、記念日とか誕生日とか、そういった特別な日にうちを選んでもらえるっていうのは、すごく僕たちとしてはうれしいですよね。年に1回、2回あるかないかっていう、そういう大切な時間をうちで過ごしてもらえるっていうのは、やっぱり、やってて良かったなって思います。

 

名物メニューには、ストーリーがある

ーーボルケーノ発売までの経緯

その当時、オープンしたてで、そんなにお店の名物みたいなものがなくて。看板商品みたいな。それを何か考えようとは思ってたんですね。

その中で、パーンって自分の中で浮かんできたのが、自分の得意料理であるラザニア。麺を層にした、ミートソースでグラタンにしたものなんですけど、それが僕、得意で。ていうのが、僕が昔、修行してた先でシェフが初めて褒めてくれた料理で。そのシェフがイタリアに行くよっていうときに、最後に僕が出した料理だったんですけど、それをすごく喜んでくれて、褒めてくれて。

それが僕の中で印象に残って、じゃあ、これをなんとか自分なりの解釈で名物料理にできたらなと思って始めたのがきっかけです。その中で自分のエッセンスを加えようと思ったときに、せっかく僕は名古屋で育ってるので、名古屋のエッセンスを何か組み込めないかなと思って。その中に入ってるパスタなんですけど、すごく極太麺だったと思うんですけど。

ブカティーニといって、イタリアの中部地方でよく使われるパスタなんですね。名古屋も、あんかけパスタしかり、きしめんしかり、太麺の文化があるじゃないですか。

それをなんとか、日本の中部とイタリアの中部で何か掛け合わせて表現できないかなと思ったときに、ラザニアと組み合わせたとき、ミートソースとの相性がすごくいいんですよ。チーズとの相性もすごくいいんで、ストーリー性もあってすごくいいなと思って、このメニューを考えて販売したって感じですかね。

 

メニュー考案は、五感を意識したようなデザインが重要

ーーメニュー考案の際に意識していること

僕がメニューを考えるときに一番最初に考えることは、誰に食べさせるかっていうことなんですよ。やっぱお客さまありきなんで。

例えば、家庭で料理するにしても、お母さんが作るのは子どもたちだったりとか、お父さん、旦那さんだったりだと思うんですけど。そういう人たちの栄養面のことを考えたり、昨日の晩ご飯がなんだったから朝食はこういうものにしようとか、多分いろいろ考えてると思うんですけど。

それと一緒で、誰に食べさせたいかっていうのをまず考えてやってます。

結構、こういうレストランでそういうことをしてしまうと、極端になりがちだと思うんですよ。例えば女性の人で20代で、こういう人に食べさせたいと思ったら、じゃあ、他の人はどうなるんだっていうふうになっちゃうと思うんですけど。

でも、そこの目標というかゴールが見えてないと僕たちもそこに向かって走れないので、取りあえずそのゴールを決めて、じゃあ、こういうものを作ろう、こういうデザインにしていこうっていうふうに決めるんですけど。

それが明確になったら、さっきもおっしゃったように、見た目とかそういう部分に目が行きがちだと思うんですけど、僕はそうとは思ってなくて。

もちろんそこも大事なんですけど、それよりもっと五感を意識したようなというか、例えば、人間なんで鼻があり耳があり手があり、いろいろあると思うんですけど、音だったりとか温度、あと香り、そういう部分ってなかなか見落としがちで、そういう部分がデザインできてないと、結果いいものは生まれないのかなっていうのは僕の中でありますね。

多分、そこまで掘り下げて考えたところで、お客さんにはなかなか伝わらないと思うんですよ。お客さんからしてみたら、Paginaの料理ってなんかおいしいよねって感じで捉えてくれると思うんですけど。僕にとっては、なんかおいしいよねって言ってもらう、その『なんか』がめちゃくちゃ褒め言葉ですね、僕の中では。

ーー他店には負けないこと

負けないことって、まあまあハードル高いですよね。でも負けないことっていったら、元気ありますよ、うち。うちのスタッフってすごい元気あるんですよ。めちゃくちゃ元気あって、すごい僕も元気もらうんですね、いつも。

ただ単に元気って言っても、ワーッていう感じの元気だけじゃなくて。それぞれ個性があって、お客さんをもてなそうっていうふうな気持ちが持ててて、すごく助かってるんですけど。だから僕、何もしてないんですよ。スタッフのみんなには、お客さんを喜ばせるために元気を出して、考えて動いてっていうだけしか言ってなくて。率先して自分から、自主的にお客さんの元に向かってサービスをする。

だから僕も元気もらえるし、もちろんお客さんがそうやって食事してるときに、元気に、特にこういうコロナ禍の状況だと、やっぱりみんな気分が沈みがちになっちゃうと思うんですけど。

でもそういうときでもみんな明るく元気にやってくれてるんで。そういう部分はきっと負けてないっていうのは自信持って言えると思います。そういう部分ですかね。

 

コロナになって、より深く、強く、考えさせられるきっかけになった

ーーコロナ禍における飲食店運営について

ちょっと前からですけど、よりデジタル化が進んでく中で、コロナになって、顔を合わせることがなくなってきたと思うんですけど。その中で僕たちも何かやれることないかなと思って、考えてきて、デリバリーとか、いろいろやらせてもらって、取り組ませてはいて。

もちろん店内に来てもらったお客さん、先ほども話させてもらったんですけど、やっぱり気分が沈みがちな部分があるので、元気を出して、来てもらったお客さんには楽しく食事をしてもらえるように、お店の中でイベントやったりとか、そういうのは通常よりも、より楽しい食事ができるようなアプローチが何かお客さんにできないかなとはいろいろ考えていて。

今もデジタル化の話をしたんですけど、顔を合わせなくても食事ができるような世の中になってきたじゃないですか。でもやっぱり、一番普遍的で大事なことっていうのは、顔を合わせて、大切な誰かと食事をして、顔を合わせて接客して、おもてなしをしてっていうことは、そういう部分は変えたくないっていうか、守っていきたいというか。

コロナになって、より深く、強く、考えさせられるきっかけになったなと思ってます。

ーー名古屋について

名古屋の人って、すごいグルメな方多くないですか。多いと思ってて、こっちとしてはめちゃくちゃプレッシャーなんですよね。だから、もちろんいいもの出さなきゃいけないし、いいもの出しても、時代の流れがあって、飽きられちゃったりすると思うんで。

こっちとしては常に新しいもの、出し続けなきゃいけないなっていうのは感じていて、ただ、時代は変わっても、普遍的な大事なものというか、残しておきたいものっていろいろあるじゃないですか。

やっぱり、そういうところはそういうところでしっかり大事にしつつ、新しいものを取り入れて微妙に変化させてやってかないと、厳しい名古屋の人たちがいるこの環境ではなかなか。

ただ、本当に成長させてくれるので、やってる側としては。結構ずばずば言っていただく方も多いですし、そういう意見をうまく取り入れてやれたらなと思って。なんで、名古屋のこの食文化が根付いてるじゃないですか。

そういうのがあるのは、やっぱそういう背景があるからなのかなとは思ってるんで。これからもそういった部分はずっと継続してやっていって、もっと盛り上げれるような感じにしていければと思ってます。

ーー料理人としての、今後の釘尾さんについて

本当に僕、まだまだ若くて、まだまだ未熟なんで。毎日毎日、勉強の積み重ねで。

これは若い頃から変わってないんですけど、今、思ってるのは、やっぱりこういう状況だし、ジャンル問わず、料理人も含めそうなんですけど、いろんな業種の方といろいろコミュニケーションをとって、名古屋をもっと明るく、盛り上げれるような活動ができたらなと思ってます。

ーーナゴレコの読者へのメッセージ

いつもお世話になってます。毎日いろんな情報を投稿していただいて、僕も勉強になってますし、そこからヒントをいただいて、何か料理に落とし込むこともありますしね。

でも『ナゴレコ』さんみたいなものは、今後の名古屋にとってすごく必要になってくることだと思いますし、これからもっともっと応援してくださる方もいると思うんで、僕は変わらず『ナゴレコ』ファンですし、これからも『ナゴレコ』さんからいろんなお店さんを教えていただいて、みんな、なかなか今こういう状況なんで、出歩くことは厳しいですけど、コロナが収束したときに行ける楽しみを今のうち持っといて、また足を運んでいただいて、もちろんうちにも来ていただきたいんですけど、また楽しい食事になったらいいなと思います。

INFORMATION

店名:

パージナ イタリアン ファイアワークス プラス カフェ

住所:

愛知県名古屋市中区錦3-22-24 ATS広小路ビル 2F

電話番号:

052-212-5642

営業時間:

ランチ 11:30~14:30(L.O.14:30)
 
ディナー 
17:00~23:00(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)

定休日:

無休

一人当たりの予算:

¥3,000〜¥4,000

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。