BEHIND THE LIFE|GLITCH COFFEE NAGOYA「森慶一」氏インタビュー

BEHIND THE LIFE|GLITCH COFFEE NAGOYA「森慶一」氏インタビュー

「BEHIND THE LIFE」

現状があるのは、積み重ねてきた過去の日々の成果。

どのような過去を経て、現在があるのか。

街で活躍するさまざまな人たちのバックグラウンドにあるストーリーをのぞき、発信することで、チャレンジしようとしている人の背中を押すことを目的としたインタビュー企画です。

第3回は、東京外初出店のシングルオリジンコーヒー専門店「GLITCH COFFEE NAGOYA」の代表、森慶一さんにインタビューをさせていただきました。

バリスタを職にするまでのきっかけ話、大きな環境の変化に対して大切にしたこと、コーヒーに対する思いなど。あらゆる角度からお話を伺いました。

BEHIND THE LIFE|GLITCH COFFEE NAGOYA「森慶一」氏インタビュー

“食”を通して人のためになることがしたい

——今の仕事(バリスタ)を始めたきっかけを教えてください。

僕は、過去に飲食の専門学校に通っていました。料理、製菓をはじめ、一通り学びましたね。

そのころ、天白区にあるカフェ&バーCITY-MARINE(シティマリン)でアルバイトをし、ドリンクを提供していたのがきっかけの1つです。カクテルなどのアルコール飲料をつくることが多く、ドリンクをサービスすることに楽しさを感じ始めました。

また専門学校の先生かつ、三重県桑名市にある喫茶店「カフェ・ド・アンダニエルズ」のオーナーにお誘いいただき、3年ほどコーヒーの修行をしていました。コーヒーの味を競う大会で日本一の経歴を持つ方から学ぶことができたのは大きかったですね。当時の経験が今の自分に活きています。

 

——そもそも、飲食の専門学校を選んだのは何故でしょうか。

ざっくり言うと…昔からモテたかったんですよね。(笑)

——!モテたかったんですね。(笑)

そう、美味しいものが作れたら最強になれると思ったんです!食べることは生きていくうえで欠かせないですしね。

きっかけは高校生の時に経験した“東日本大震災”です。

就職を視野に入れて勉学に努めていましたが、震災を目の当たりにして「賢いだけじゃ何もできない!」と思いました。人のためにになることがしたくなって、世界共通である“食”に携わる道を選ぶことに。

食のなかでもバリスタを選んだのは、場所を問わない手軽さと、料理のような派手さがないことに魅力を感じたからです。

 

コーヒーがもつ素材を最大限に活かすことこそが宿命!

——GLITCH COFFEEとの出会いを教えてください。

サードウェーブやスペシャルティコーヒーという言葉がトレンドになったころ、浅煎りに対して毛嫌いをしていました。正直にいうと浅煎りは酸っぱいだけだと感じ、美味しさが分からなかったです。

これまでの経験上、深煎りや中煎りは淹れたことがありますが、浅煎りだけは未着手だったんですよ。浅煎りにトライしてみたい思いはあって、出会ったのが「GLITCH COFFEE」。2020年2月に名古屋店がオープンするにあたり、募集要項を目にしました。

浅煎りだけを扱うお店が名古屋だとほぼ無くて。浅煎りを出しているお店は、お客さまのためを思って深煎りや中煎りを用意していることが大半なんですよね。

 

そんな中、すべてを浅煎りにしている「GLITCH COFFEE」の攻めの姿勢にいいな!と思って応募しました。今となっては自分でもびっくりするくらい浅煎りにハマっています!

 

——なるほど!慶一さんにとって「GLITCH COFFEE」との出会いが大きな分岐点になったんですね。ところで、浅煎りと深煎りではどう異なるのでしょうか。

そもそも理論自体が結構違いますね。扱っている素材自体が違うので、味の出方が全然違うんですよ。素材の味を最大限に活かすために、素材に合わせた淹れ方を意識しています。

僕は農業をやったことはなく、コーヒー豆が手元に届くこと自体が自分の範囲外です。その分、自分の経験だけで閉じ込めないようにすることを大事にしています。

自分の持っているものでしか対応できないと限界がありますからね。同じ浅煎りでも生産国や品種によってコーヒー豆の粒の大きさが異なるので、そういった違いにもきちんと向き合いたいものです。

常に変化を恐れない!チャレンジですね。

 

お客さまと一緒に生きていくための努力を惜しまない

——変化というと、オープン当初からこれまでの間にさまざまな変化があったのではないでしょうか。オープンして1年が経ちますが、どんな点に苦労を感じましたか。

やはりコロナの影響は大きかったです。お客さまありきの仕事上、来店してもらうことのリスクに苦労しましたね。これはどの飲食店も同じだと思いますが。

 

——その点、どう乗り越えたのでしょうか。

変化を恐れず、昨日とは違うことをやろうと試みました。

壁にぶち当たったときは、自分に目がいってしまいます。例えばどうやったらお店を続けていけるか、どうやったら赤字にならないか、どうやったら給料をスタッフに支払うことができるかなど。

しかし、そういったことではなくてお客さまのためにアクションを起こし続けていきました。

 

自分たちがやりたいことをやり通してしまうと、自分らしか満足を得られない。お客さまが何を求めているのかを考えることを第一に優先しましたね。

テイクアウトを推奨したり、自宅で美味しくコーヒーを淹れるためのセミナーを開催したりと。お客さまにどうコーヒーを楽しんでもらえるかを考えることこそ、お店にとっての励みになったと思います。

 

——今後の展開として、どのようにお店を利用をしてもらいたいといった希望はありますか。

お客さま自身の時間を自由に楽しんでもらいたいです。ライフスタイルの一部にしてもらえたら嬉しい。出勤前のコーヒー、休憩時のコーヒー、1日の振り返りをするときのコーヒーなど。そういった時にうちのコーヒーを選んでもらえたらと思っています。

お店をやっている以上、お客さんと一緒に生きていきたいです!

 

——一緒に生きていくって良いですね!カッコイイです。

ありがとうございます。シチュエーションを提供するよりかは、お客さまのシチュエーションに合わせたいです!

テイクアウトしたら、どこにでも持っていくことができますよね。片手に持っているコーヒーがうちのコーヒーだとしたら、記憶に残るような瞬間に僕らがいる状態でありたいです。

 

いつかは故郷にも恩返しをしたい!

——これまでお店のお話をたくさん伺いましたが、慶一さんご自身の将来のビジョンを教えてください。

アジアに進出し、いつか店舗を立ち上げたいです!これは、確実にやります。

 

——なぜアジアの地を選んだのでしょうか。

僕はフィリピンと日本のハーフで、フィリピンは僕のルーツなんです。恩返しがしたい気持ちがあります。

「嬉しい!」と思ってもらえるような存在でありたいと思っていて。楽しい、面白いはありふれていますが、嬉しい体験は忘れないですよね。喜びの先にあるような気がします。

——慶一さんにとって忘れられない嬉しかった一言はありますか。

そうですね…「やっぱり美味しいですね!」と言われるときが、自分にとっての喜びですね。

今は過去よりも成長しているはずだから、いつだって今の自分が最高な状態なんですよ。だからこそ、戦友が来てくれたときに今の自分を認めてもらえると非常に嬉しいです。

 

誰かの人生ではなく“自分の人生”を生きていく

——慶一さんからは「常にベストな状態でありたい!」という向上心と、チャレンジ精神を強く感じます。チャレンジできずにいる方へアドバイスをお願いします。

「チャレンジをしたい!」と思った時点でチャレンジができていると思います。

自分自身がかけがえのない存在だということを思い出してほしいです。何をするにしても恐れは一生ついて回りますが、それをやりたいと思った自分は超キラキラしていると思うんです。そういう瞬間になっているときに自分を低評価しがちなので、自分で自分を褒めてあげてください。

 

自分で自分を励ますことは、自分にしかできません。励ましていくことで“自分の人生”を生きることになります。人に言われて不安になると、“その人の人生”になってしまいますから。

 

慶一さんにとってコーヒーとは何か

——最後になりますが、慶一さんにとってコーヒーはどういう存在でしょうか。

駆け出しのころから思っていることが1つあって、コーヒーはエネルギーだと思っています!

コーヒーは世界中の人が飲んでいて、廃れることなく変化し続けるもの。素材がより良くなっていく農作物としてエネルギーを感じますね。

僕は、コーヒーを通じて皆さんの日常を彩りたいです。

 

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