BEHIND THE LIFE|CAFE TOLAND「新井康陽」氏インタビュー
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BEHIND THE LIFE|CAFE TOLAND「新井康陽」氏インタビュー
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「BEHIND THE LIFE」
現状があるのは、積み重ねてきた過去の日々の成果。
どのような過去を経て、現在があるのか。
街で活躍するさまざまな人たちのバックグラウンドにあるストーリーをのぞき、発信することで、チャレンジしようとしている人の背中を押すことを目的としたインタビュー企画です。
第4回は、リニューアル後も話題が絶えないカフェ「CAFE TOLAND」の代表、新井康陽さんにインタビューをさせていただきました。
経営者になるまでのきっかけ話、一緒に働く仲間に対して大切にしていることなど。あらゆる角度からお話を伺いました。
目次
BEHIND THE LIFE|CAFE TOLAND「新井康陽」氏インタビュー
何事も、まずは疑問から
——これまでのお仕事について、簡潔に教えてください。
僕は、過去に大阪でBARやエステサロンなどを経営していました。その後人口減少による「空きビル問題」に目をつけ、ビルプロデュースをスタート。現在、さまざまなイベントを企画しつつ、カフェやBARを経営しています。
——さまざまなご経験のある新井さんだからこそ伺いたいことが1点。その原動力はどこからきているのでしょうか。
まず、ベースとなるのが世の中への疑問。これは今も変わっていないですね。
例えば大人の存在について。誰しも大人になるために努力するじゃないですか。その大人が「なぜ全然楽しそうじゃないのか」と疑問に思ったんです。
大切な時間を使って努力した先が楽しくないって意味わからないんですよ。(笑)努力した大人だからこそ、楽しむべきです。
人が疑問を抱いていないことに対して不思議に思うことを決定づける、ある出来事が起きまして。
——どんなことがあったのでしょうか。
中学生のころ、親戚の集まりに行きました。そのときにニット帽を被っていたんですね。
おとんが「こうよう、家の中では帽子を脱げよ」と言ってきたんです。当時の僕は思春期だし、髪の毛がぐちゃぐちゃになっていることもあって脱ぎたくなかったです。(笑)
そしたら、また言われてしまって。3回目くらいでめちゃめちゃでかい声でキレられたんです。仕方なく脱いだものの、違和感を感じました。
マナーというのは、人に迷惑をかけないためにあると思います。そう考えると、マナー違反をしたのは、親戚の家で怒鳴り散らかしたおとんだと思うんですよ。(笑)怒っている本人に帽子を脱がないといけない理由を聞いても、答えられないはず。
当時の僕はすぐさま調べました。どうやら、室内で帽子を脱ぐというマナーは中世のヨーロッパで生まれたらしく。それが何となく日本にも根づいただけ!特に理由はなかったんですよ。
——そうなんですね。はじめて知りました。
そのときに「大人って、そこまで深く考えてないのかも。」と思いました。生意気ですけど。
「決まりだから」「みんながそうだから」という感覚が当たり前になると、疑問をもたなくなるのではないでしょうか。気づけば親や社会から、常識、当たり前、幸せのカタチを押しつけられ、人生そういうものだという乱暴な理由で自分の意思さえも片づけてしまいます…。
しかし、たった1つの疑問が人生の見え方を一変させることがあるんです。僕の起業のアイデアも、その業界への疑問から生まれることがほとんどです。疑問は僕の原動力になっていますね。
一緒に働く仲間と楽しく仕事をしたい
——新井さんは仕事をする上で何を大事にしていますか。
軸として楽しいかどうか。これに尽きます。
「今のうちに遊んどけよ」や「大人になったら大変だぞ」といったことを、大学生くらいになると年上の方からよく言われます。ネガティブな情報をきくことが多いような気がして。
——そうですね。私もそうでした。
仕事をしていくうちに、「本当に苦しいだけなのか。それは自分の努力で変えられないのかな。」と思い始めまして。リスクは高いですが、自分で環境をつくれる起業という道を自然と選んでいました。
働く人を考えたとき、友達や家族と一緒だと楽しそうだと思いました。めっちゃ安易ですけど。(笑)
もちろん楽しいばかりではないです!大変なこともたくさんあります。時には周りから反対の意見もありました。
——どのような反対意見があがったのでしょうか。
過去に、大阪の心斎橋でBARを出したときのことです。栄でいう錦のような繁華街で、人もお店も多いです。そんな場所で成功するわけがないと言われましたね。
BARというのは、雑居ビルの中の高い場所にあります。数多くのビルがある状態で、ふらっと歩いている人がたどりつくような場所ではないんです。
逆にいえば、来てくれる人は家を出た瞬間から「あのお店に行こう」と決めています。そういった人を何人増やせるかが勝負。そのため、人口が多かろうと少なかろうと関係ないです。
自分たちが発信するツールがある時代ですし、それをうまく使えばお店自体を知ってもらうことはできます。
最初からカフェ経営をしたいわけではなかった
——そういえば、ここ(CAFE TOLAND)も6階ですね。
最初は2階でしたが、6階にリニューアルオープンしました。
僕は、やったことがないことを経験値としてやっていきたくて。そんなときにこのままだと日本の建物が余っていくことに気づきました。都会にビルがたくさんありますが、どんどんなくなっていく気がして。
そこで“空間”に興味をもったんです。ビルをプロデュースすることがしたくて、ビルのオーナーさんと結託。「ビル興し事業」を開始しました!
——ビル興しをする上でカフェを選んだ理由はありますか。ほかの形態もあったかと思いますが。
ビルが1つの村だとしたら、人を呼び込むにはどうすればいいのだろうと考えました。形として何がいいかと思ったときに、カフェだったんです。
そのほか、イベントスペースやコワーキングスペースをつくっていくうちに、3年くらいでテナントが埋まりました。完成形として自分が好きな空間を作ろうと試み、それこそが「CAFE TOLAND」であり、弊店の中にオープンした秘密のBAR「スナックCandy名古屋」です。
ピンチのはずがチャンスへ
——この場所は、新井さんにとって集大成でもあったんですね。席同士の間隔がこれだけあるのは珍しく思います。
あぁ、これは予算的な都合でして…。ただ、席が少ないことでお客さまに安心してもらえて、意外と好評でした!
安心だけでなく、席と席の間にある間隔によって個室に近い状態にもなりました。結果オーライですね。つまり、何事もやってみないと分からないんですよ。(笑)
——確かに、そうですね。一緒に働く人に対して大事にしていることは何でしょうか。
例としてアニメ「ワンピース」を挙げます。
ルフィには海賊王になるという目標がありますよね。仲間はルフィの目標に賛同しつつも、自分の夢を叶えるために船に乗っていますよね。僕も、働く人たちには自分のやりたいことを叶えてほしいと思っています。
会社のビジョンや目標、進む方向が、働く仲間の進みたい未来と一致しているか。ここがずれると、その人にとって会社は何の意味ももたらさなくなってしまいますから。
クラウドファンディングサービスの立ち上げに挑戦
——仲間、一緒に働く人への愛を強く感じます。新井さん自身、これからやってみたいことはありますか。
さまざまな人との出会いの中で、挑戦しやすい仕組みやアイデアが形になりやすい環境をつくりたいと思いまして。クラウドファンディングサービス「RiSSHi(リッシ)」をつくっているところです。
僕自身、実際にクラウドファンディングを5回ほどやったことがあって。そのときに、「もっとこうしたらよくない?」と思う点が出てきたことがきっかけです。
日本から新たなサービスを生み、それが世界中に届いていくようなプラットフォームにしていきます。お楽しみに。
PDCAを高速回転しながら挑戦あるのみ
——新井さんは「チャレンジ精神の塊」ですね。これからチャレンジしようか迷っている人に向けて、ぜひメッセージを。
チャレンジするか迷っている人の多くが「失敗したくない」という感情があるからだと思います。その気持ちを因数分解したらどうでしょう。
悩んでいる理由が「周りの目が気になる」という場合、影で死ぬほど努力するか、小さい挑戦を回数重ねていくか。思いっきり失敗して楽になってください。(笑)
いきなり何者かになろうとせず、あらゆることを経験値稼ぎだと思って挑戦してほしいです。その経験や知識、自信があなたを押し上げてくれますよ。
大それたことをする必要はなく、小さなことでも挑戦です。長い目でみたら経験になるかどうか、という目線を大事にしていくといいと思います。
僕は常に失敗をしています。その分、常に成功もしているというわけです。すべての出来事に成功と失敗両方がくっついていると考えると、挑戦するたびにめっちゃ学べるのでオススメです!