名古屋で巡るレトロな純喫茶 Vol.7「ステンドグラス」と「こんがりトースト」

名古屋で巡るレトロな純喫茶 Vol.7「ステンドグラス」と「こんがりトースト」

東海エリアにルーツを持ち、名古屋市内で当たり前のように提供されている「モーニング」のサービス。
最近は追加料金で好きな組み合わせを選ぶことができるお店が増えている印象ですが、元祖をたどるなら、やはりドリンクオーダー時に自動的についてくる焼きたてのトーストがセオリーではないでしょうか?

この日訪れたお店は、世代交代を経てもなお「名古屋モーニング」のセオリーをしっかりと踏襲している喫茶店。
先代店主が集めた美しいステンドグラスに囲まれながら、コーヒーを片手に優雅なモーニングタイムを楽しんできました。

アンティークの家具や雑貨がお出迎え!ステンドグラスが空間にいろどりを添える純喫茶「喫茶ステンド」

まるでドールハウス!西区・上名古屋の住宅街に馴染むレンガ造りの佇まい

この日訪れたのは、地下鉄鶴舞線浄心駅から歩いて7分ほどのところにある「喫茶ステンド」さん。

住宅地の中にあるため、普段お店を利用する人は近隣に住む常連さんが多いようですが、最近は純喫茶ブームも相まって名古屋市外から足を運ぶ人も増えてきています。

同店が話題となる所以はいくつかあるのですが、お店を訪れてまず興味を惹かれるのはレンガ造りのレトロな外観でしょう。

2階部分にあるアールを描く窓とアイアンの柵のついたバルコニーのレトロ感も相まって、建物全体の雰囲気がまるでドールハウスのように可愛らしいことが特徴です。

 

昭和感あふれるブラウン一色の空間に華を添えるカラフルなステンドグラス

「喫茶ステンド」さんの一番の特徴は、その名前でもわかる通り、和洋折衷の個性豊かなデザインを採用したカラフルなステンドグラス

元々アンティーク家具や骨董品の収集が好きだった創業者が選りすぐったものを店内に展示し、代替わりを経た現在でも変わらず展示されています。

カラフルなステンドグラスと重厚感のあるダークブラウンの家具との相性は抜群で、ノスタルジーを感じる昭和時代の雰囲気をまとった古き良き組み合わせは写真映え抜群!

このレトロな写真に収めようと、純喫茶に馴染みのある中高年世代だけでなく、SNS世代の若者の間でも注目が集まり足を運ぶ人が増えています。

お店が北向きのため、時間帯によっては若干陽の光が入りにくいことも。

しかし、今回訪問した午前の時間帯は晴天のお陰もあって、ステンドグラスが日光を透かしてお店の中を明るく照らしていました。

自然光に透けるステンドグラスはとても美しく、色のついたガラスを通した光が壁や家具の色に影響されて個性豊かないろどりを空間に灯し、唯一無二のカラーを作っている様子も必見です。

 

壁掛け電話にタイプライター…先代が収集した数々のアンティーク雑貨

ステンドグラスとあわせて注目してほしいのが、店内の各所に散りばめられたアンティーク雑貨の数々。

いまでは現役で使われている場面をほとんど見ることがなくなった「タイプライター」や、足踏み式の専用台に乗せて使う「ミシン」など、令和の時代には珍しさを感じる骨董品がたくさん並んでいます。

若者世代に「電話といえば、どんなもの?」と質問すると、おそらくスマートフォンやガラケーなど携帯電話の類、もしくは一般家庭にある液晶画面のついたの固定電話を想像する方が大半でしょう。

祖父母の家にダイヤル式の黒電話があったので、私が知っている一番古い型の電話はこれになります。

そんな黒電話よりもさらに前の時代に使われていた壁掛け式固定電話はとても希少価値が高く、綺麗な状態で現存しているものはごくわずか

ちなみに私は、この壁掛け式電話の使い方を想像すらできなかったのですが、みなさんの中に正しい使用方法を知っている方はいらっしゃいますか?

各テーブルに置かれたシュガーポットはオーソドックスなデザイン。

シンプルなものだからこそ、骨董品が並ぶ個性の強い空間よく馴染むのでしょうね。

 

こんなに安いの!?昔ながらの名古屋喫茶スタイルを楽しめるモーニングサービス

●ブレンドコーヒー 370円(税込)

新しめの喫茶店やカフェでコーヒーを注文すると、1杯500円程度の価格が一般的な印象です。

しかし、「喫茶ステンド」さんではコーヒーや紅茶を1杯370円というリーズナブルな価格で提供。

くわえて、こんなにも安価なのに、ちゃんと小皿に乗ったお茶請けもついてくるなんて…!

お店の雰囲気だけでなく、価格設定までも昭和時代と同じなことにびっくりしました。

そして、コーヒーと同時に運ばれてきたのが、トーストした角食にバターを塗った、名古屋モーニング定番の“おまけ”!

たったコーヒー1杯のオーダーなのに、かなりお腹が満たされる優秀すぎるサービス。東海圏以外でも当たり前にやってほしいと、県外在住者として切実に思います。

 

ずっとお店が続いて欲しい!先代が極めたノスタルジーを受け継ぎいまも営業中

昭和の時代から営業を続ける同店は、現在の店主で2代目。

訪問したときはご主人と奥様がお店にいて、夫婦仲良く切り盛りしている様子を見ることができました。

先代がお店に立っていた頃から来ている常連さんが多く、代替わりを経たいまでもコーヒーの美味しさと居心地の良さは健在のようです。

ぜひみなさんも、「喫茶ステンド」さんでゆったりとモーニングコーヒーを楽しんでくださいね!