名古屋で巡るレトロな純喫茶 vol.9「手作りサンプル」と「ふわふわホットケーキ」

名古屋で巡るレトロな純喫茶 vol.9「手作りサンプル」と「ふわふわホットケーキ」

飲食店を訪れたとき、お店の内外に飾られている食品サンプルに思わず興味惹かれたという経験はありませんか?
実物そっくりに造られている精巧な食品サンプルは、日本が誇る芸術品のひとつとして海外からの観光客にも人気が高いのだといいます。
国内だと、岐阜県郡上市が生産地として有名ですよね!

そんな食品サンプルを、今回訪れたお店の店主は自作してしまったというからとても驚き!
プロの腕に劣らずな高クオリティな食品サンプルが飾られているユニークなお店を、今回の記事でたっぷりとご紹介します。

ご主人お手製の食品サンプルが迎えてくれる!まちの洋菓子店にルーツを持つユニークな純喫茶「サンセン」

ここが話題のお店!内田橋商店街の一角にノスタルジーただよう喫茶店を発見

この日私が足を運んだのは、南区にある内田橋商店街。訪問したのは、以前から訪問できる日を心待ちにしていた気になる喫茶店「サンセン」さんです。

昭和の中期からこの場所で営業を続けている同店の前身は和洋菓子店。

現在は菓子店としての営業は終了し喫茶店として営業しており、昔と変わらない佇まいで商店街の一角で存在感を放っています。

 

食品サンプルは店主のお手製!創業当初の貴重な資料も特別に拝見

お店の内外に置かれた食品サンプルは、すべて店主が自作したものだというから驚きです。

メニュー入れ替えのタイミングやサンプルの劣化によって時折入れ替えをしているということで、訪問時はやや色あせた食品サンプルたちが店内に飾られていました。

お店の外に置かれているものはちょうど入れ替えが完了したばかり。

ということで、この日は運よく時間の経過で変化するサンプルの様子を実際に見て比較することができました。

店内のテーブルの上に置かれているメニューは現在の物価に直したものが置かれていますが、私のように昔の話を聞きたがるお客さんが来た際には、特別に創業当時のメニューを見せてもらえます。

今ではほとんど見かけなくなったマッチ箱も中身が入った状態で保管されており、店主の話に頷きながらとても貴重な資料をじっくりと観察させてもらいました。

 

オーダーが入ってからひとつひとつ銅板で焼き上げるホットケーキ

この日は朝ごはんを食べておらずお腹が空いていたので、朝ごはんやおやつとして人気だという「ホットケーキ」をいただくことにしました。

ホットケーキの生地は作り置きせず、オーダーが入ってから材料を混ぜ合わせます。

元々同店は、有名菓子メーカーの「不二家」に関連したお店でした。

しかし、当時はまだ喫茶店でスイーツを楽しむことが当たり前ではなかったため、結局オーダーが入るのはコーヒーのみ。

そういった時代背景の中でお店を辞めようと思ったことが何度もあったそうですが、カフェや喫茶店が多くの世代に定着した今は昔大手企業から学んだノウハウを生かし、現在もここで営業を頑張っているそうです。

こうした会話をしている間に銅板がしっかりと熱くなったので、さきほど混ぜ合わせた生地をていねいに銅板の上へ。

商品となる大きな2枚のホットケーキの横には小さいものが1枚。こちらは焼き加減を見るためのものなのですが、銅板の上に並ぶ大きさの違う3枚のホットケーキがまるで親子のように見えて可愛らしくも思えました。

銅板を使うことで生地に焼きムラができず、こんがりと綺麗なきつね色に焼きあがるところがポイント

ホットケーキの見た目はオーソドックスですが、その製造工程にはお店のこだわりがしっかりと詰め込まれていました。

 

バターとメイプルシロップでシンプルに♪お供はやっぱりクリームソーダ

●ホットケーキ 600円(税込)
●クリームソーダ(黄色) 500円(税込)

ホットケーキが焼きあがる直前まで、一緒にいただくドリンクを迷っていたのですが…。

店主が「黄色(のクリームソーダ)はちょっとめずらしいんじゃない?」とおすすめしてくれたので、今回はホットケーキと一緒に黄色のクリームソーダをオーダーしました。

食品サンプルのショーケースには青と赤のクリームソーダしか並んでいなかったのですが、このように他の色を提供できる場合もあるのだということです。

ホットケーキはほどよいふかふか食感。ただやわらかいだけでなく、しっかりとお腹に貯まる食べごたえがあります。

生地が甘さひかえめなので、お好みでメイプルシロップをかけていただきましょう。

自宅でもよくホットケーキを作るのですが、お店で食べるホットケーキは雰囲気も相まってとても美味しく感じます。

クリームソーダは、シロップで色付けしたソーダにバニライアスクリームを乗せただけのシンプルなもの。

極限までシンプルなレシピでつくることで、曲線を描くグラスのフォルムが引き立ちます。

現在は新旧2種類のグラスでフロート系ドリンクを提供しているそうで、どちらのデザインが登場するのかは商品が出てきてからのお楽しみ♪

 

現在は店主の趣味部屋(?)に!奥の部屋に和洋菓子店の名残を垣間見る

入口のすぐ横にある部屋は、元々和洋菓子店として営業していたときのスペース。現在ここは使われておらず、店主の趣味のものを保管する物置となっているようです。

立ち入ることはできませんが、部屋の入口から少しだけ当時の様子を垣間見ることができたこの日。

昭和の頃の貴重なお話もたっぷりと聞かせていただき、お店をあとにすることが少し名残惜しくも思えました。

みなさんもぜひ「サンセン」さんで、昭和の菓子店の魅力あふれる喫茶メニューを満喫してみてくださいね!