豊田本町|他県から黒船襲来!カレー、クラフトビールの二刀流で新風を吹かす酒場

豊田本町|他県から黒船襲来!カレー、クラフトビールの二刀流で新風を吹かす酒場

突然ですが、私たちの衣食住を支えるものは本当に便利になったと思いませんか?
現金を持たずとも手ぶら出かけられるようになったり、全自動調理やレンジに食材を入れて温めるだけで本格的な料理を味わることができたりと、時代は進化しているんだなと感じます。

そんな中でも手間暇かけて1から作るからこそより魅力的になるもの、既存のものに更なるアレンジを加えて創作することで新たなジャンルを築くことができるものってあると思います。そしてそのように作られる料理の可能性は無限大!

今回はその代名詞ともいえるカレーとクラフトビールにフォーカスしたお店をご紹介していきます!

名古屋のカレー、クラフトビール界隈に一石を投じること間違いなし!「黄昏リリー」

レトロな雰囲気漂う商店街に煌々と佇む!移転を機に新たな店名で始動!

お店があるのは南区内田橋。堀川が通り南区と熱田区を繋ぐのが内田橋でこの近隣の幹線道路はトラックが多く走っている印象を受けます。その通りは大手のチェーン店がお店を構えていますが、1本脇道に入ると昔ながらの街並みと長年そこを支え、愛されてきただろう飲食店が存在します。

それらが集まる筆頭が内田橋商店街です。その歴史は100年を越えますが、少しずつシャッターを下ろすお店も増えてきたことも事実。ただここ数年、この商店街に新たに出店するお店が増え、少しずつかつての活気を取り戻りつつあります!

今回ご紹介するお店は名鉄常滑線豊田本町駅から5分、地下鉄名城線熱田神宮伝馬町駅からは10分ほど。内田橋商店街に軒を連ねる「黄昏リリー」さんです。木の温もりと外からでも中を見渡すことができるガラス張りの外観は、初めて訪れても入りやすい雰囲気ですね。

名古屋に暮らす私たちの足を支える地下鉄の駅からは10分ほどと少し距離があるように感じますが、商店街は歩くだけでほっこりする雰囲気があり、何よりこちらは足を伸ばして訪れる価値のあるお店だと思います!その魅力をしっかりとお伝えしていきます!

店内は縦長の造りになっており、厨房に面したカウンター席と壁面にテーブル席が用意されています。暖色系で統一されており、暖かくもスタイリッシュな印象を受けます。厨房とカウンター席は距離が近いので、カレーの食慾をくすぐる香りをダイレクトに感じることができます。また、こちらはご夫婦で営まれていて、その接客も気さくそのもの。カレー屋さんであると同時にクラフトビールを嗜む酒場でもあるので、酒場ならではの交流も楽しむことができそうです。

実はこちらのお店、元は静岡県富士宮市で「龍と風呂敷」という名前で営業されていましたが、2024年8月、名古屋へ移転されました。その確かな味を求めて移転先へ富士宮から訪れたお客さんもいたのだとか。
鳴りを潜めているという表現は良くないかもしれませんが、良くも悪くもまだ隠れてしまっているんです。個人的に隠しておきたいお店の1つではありますが、その魅力を世に知らしめていきたいと思います!

 

フードはカレー、ドリンクはクラフトビールがお店の2大名物

メニューは店内の奥にフード、ドリンクを全て網羅した黒板がドンッと鎮座しています。

カウンターにテーブル、壁面にもメニューはあるので、そちらからフードを確認していきましょう。

カレー屋さんではなくカレーとスパイス料理でお酒を楽しむお店ということもあり、カレー以外のフードの品揃えはなかなかのもの。しかも普通の酒場とは異なり、文字面からして痺れる逸品たちが並んでいます。よく見る子たちにスパイスを掛け合わせたフードはどれも興味をそそりますね!

そしてこちらが力を入れているクラフトビールのメニュー。常時3種類のクラフトビールがタップで用意されています。

私は生粋のビール党なんですが、クラフトビールはまさに底なし沼。全世界で水に落ちた絵の具が1つ2つと混ざって色を変えていくように、さまざまな色、度数、味のものが存在します。その可能性は無限大と言っても良いくらいで、日本、ここ名古屋でもクラフトビールを造るブルワリーが増えてきました。

クラフトビールを提供するお店もそれと同時に増えましたが、生ビールが飲めるお店はそれほど多くなく、3種類から言えど入れ替わり立ち替わりで次々といただくことができるのは希少だと思います!

他にも個性的なドリンクやこちらの主力であるカレーも目も引くものばかりで、メニューを見ているだけでもワクワクしてしまいます!ちなみにこちらは平日は15時、土日は12時オープンと絶好の昼飲みスポットでもあります!昼からクラフトビールを飲めるなんて、桃源郷過ぎるぞ!

 

そうだ、クラフトビールで乾杯しよう!超希少なクラフトビールが飲めるチャンスもあり?!

さて、この日はカレーを食べるお腹の空き具合ではなかったので、スパイス料理をアテにクラフトビールを楽しむこともしました。

まずいただいたのは沼津クラフトの「バイカモIPA」。クラフトビールは3つのサイズから選ぶことができ、1番少ない量のSでお願いしました。静岡の沼津にあるブルワリーで、バイカモという水草をイメージして作ったビールなんだそう。

ひと口含むと感じるのは柑橘系の爽やかさ。それがフワッと広がったかと思いきや、次にやってきたのはしっかりとした苦味。私はビールを飲み始めた頃はとにかく爽やかでのど越しの良いものが好きでしたが、年齢を重ねるごとに苦味をしっかりと感じるビールを好むようになりました。ビールに限ったことではありませんが、苦味も旨味ですよね。

このビールはその爽やかさと苦味の良いとこ取りをしたような1杯で、目を瞑れば億千の星ではなく瑞々しく爽やかな水草が浮かんでくるようです。ここまでイメージを味に出来るのはシンプルすごい、これがクラフトビールなんですよね!

このビールに何か合わせたいと注文したのがおつまみカレー。その日のカレーのラインアップの中から1つ選び、そのカレーのみをいただくことができます。

私が選んだのはプルド鴨という鴨肉が解されたカレーで、一緒についてきたのはパパドというインド料理の定番である豆でできたパリパリ食感のスナック。イメージしやすく言うと豆で作った塩気のないポテチのようなものです。

まずこの鴨のカレーがめっちゃ鴨!身が解されていることによって、鴨の旨味が極限までカレーに溶け出しています。辛さは程よく、スパイスの豊かな風味に旨味が鴨の旨味と相まってこれはおつまみとしてチビチビ食べるのにも向いています。

このカレーに良い意味でクセのないパパドとつければその食感も楽しめるし、爽やかさと苦味が共存するビールとの相性も抜群!旨いを旨いで流し込む…最高!

カレーを単体で食べることってあまりありませんが、基本ご飯と食べることを想定されているので、味は濃い目。よって無条件でお酒が進むんですよね!先ほどのクラフトビールがなくなってしまったので、次に注文したのがうちゅうブルーイングの「Mystic Veil」のSサイズ。このクラフトビールがすっっっごいのです!

この「うちゅうブルーイング」は、日本のみなならず全世界が大注目しているブルワリー。ビールの国際的な大会でいくつも賞を受賞しており、クラフトビール界の大谷翔平といっても過言ではありません。缶ビール、樽生ともに発売されれば即日完売も日常茶飯事の超人気なビール。これが置いてあること自体が希少なんですが、なんとこちらのお店ではこの「うちゅうブルーイング」の生ビールを味わうことができる時があるんです!これは名古屋の中でも超希少!SSRです!今ごろビール党の皆さんはスタンディングオベーションしていることでしょう。

この時タップにラインアップしていた「Mystic Veil」は、「うちゅうブルーイング」の定番商品と比べて小麦や麦芽を4倍以上使用し、通常の倍の時間をかけて仕込んだ手間ひまがかかりまくったビール。そのアルコール度数は驚きの9.5パーセント。見た目も通常のビールと違って、濁っているように見受けられます。私は「うちゅうブルーイング」の缶ビールを飲んだ経験があり、その時も衝撃を受けましたが、この時はそれ以上の衝撃と興奮を覚えました。

いざひと口に含むと思わず笑えてしまうような味。褒め言葉としてこのような表現をしますが、これはもはやミックスジュースです!大人のミックスジュースだ!

柑橘の風味がビックバンの如く大爆発しており、これは風味というより柑橘の味がします。もちろん多少の苦味は感じますが、9.5パーセントというアルコールの高さを一切感じない衝撃の味!グビグビ飲むというより蒸留酒をロックで飲む時のように少しチビチビ飲む、そのくらい濃厚な1杯でした。

入荷などの状況にもよるため必ずあるとは言えませんが、日本が世界に誇るクラフトビールを味わうことができるというだけでも相応の価値があるので、ぜひ足を運んでその名前があった際には舌鼓を打ってほしいです!お店のSNSを要チェックです!

 

ここまではビールを中心にお届けしてきましたが、ここから別日にカレーを食べに行った際のものをお届けしていきます。ほぼ開店と同時に訪れましたが、次々とお客さんが訪れていました。

カレーの提供まで少し時間がかかるとのことだったので、軽く何かつまもうと注文したのがグリーンカレー春巻き。

一般的なサイズ感ながらもパリパリの皮の中にはぎっしりと具材が詰まっており、その味はエスニックかつスパイシー。その名の通りグリーンカレーが凝縮された春巻きで、これはクセになります。

春巻きがあまりに秀逸だったので、クラフトビール頼んじゃった。この日もラインアップされていた「うちゅうブルーイング」から「宇宙リラックス」。

感じるのは圧倒的な爽やかさ。柑橘っぽさもありつつも味の芯がしっかりしており、後味は非常に爽やかな1杯。晴れた日のテラス席で飲みたくなるようなこだわりのクラフトビールでした。エスニックな春巻きを爽やかな柑橘を感じるクラフトビールで流し込む、ここが南国かと勘違いしてしまいそうです。

 

スプーンが止まらない!彩り豊かでこだわりが詰まったカレーは絶品そのもの!

そしていよいよカレーのお出ましです!カレーは1種はもちろん2種盛りも選ぶことができるので、私はその日のラインアップから「スイートスプリングポーク」と「改・無水チキン」の2種盛りでお願いしました。まず言えることはビジュアルがめちゃくちゃ良い!雑誌の表紙を飾れるんじゃないかってくらいに彩り良く華やかで、見ているだけでも食欲をそそられます。

2種のカレー以外にも付け合わせ、アチャールも5種類添えられていて、まさに壮観のひと言です!ただこれだけきれいに盛り付けられていると、どこから食べようか迷ってしまうのが人のサガ。

迷いに迷って手を伸ばしたのはスイートスプリングポークでした!お酒にスイートスプリングという春にかけて収穫されるみかんを漬け込み、それをカレーに用いたポークカレーです。

カレーのみいただくと先にやってくるのはみかんの爽やかな甘味と酸味。その後にスパイスの辛味と風味がやってくるんですが、これがどちらかが勝るでもなく、見事に調和して共存しています!追い打ちをかけるように豚肉の旨味、野菜の甘味もやって来て口の中がさまざまな旨味で支配されています!スイートスプリングの爽やかさのおかげで後味が良く、旨味が強いのにさっぱりとした味わい。

カレーなので当たり前なんですが、これはご飯が進みます!お口直しの1つでもある付け合わせとともにいただけば、もはやこのカレーは飲むものだと錯覚さえさせてくれます。超旨い!

ここのカレー、ヤバイわと思いながら次に手を伸ばしたのは改・無水チキン。パッと見ただけでもチキンが相当な量入っていることが見受けられます。

こちらは先ほどと違ってパンチが強い!ガツンときます!ガツンとチキンだ!カレー自体の味も濃厚で、そこにチキンの旨味を詰め放題で限界までパンパンに詰め込みましたという感じでしょうか。肉は元々解されているんですが、口に入れると旨味として繊維1本1本まで解ける食感。ギュッと凝縮されたチキンの旨味をスパイスの風味と辛味がそれをより引き立てている印象です。脊髄反射でご飯に手が伸びてしまいます。

どうやら私が選んだ2種のカレーは対になるような存在だったようで、爽やかなあっさり系とガツンと濃厚系、同じお店にいながらここまでタイプの違うカレーを1皿で味わうことができるのかと戦慄しました…!個人差がある部分ではありますが、個人的にはスパイシーながらもそこまで辛いとは感じませんでした。ただ食べ進めるに連れてスパイスのおかげで体がぽかぽかします、よってビールとの相性も抜群です!

さて、ここまで2種のカレーの魅力をそれぞれで見てきたわけですが、私は半分食べ終えたくらいで皿の中でちゃぶ台返しを起こします!見栄え、お行儀があまり良くないかもしれませんが、こういうのは全てを混ぜこぜにして食べると旨いことを私は知っています。

タイプの違う2種のカレー、ご飯、付け合わせを見境なく一気にかき込めば圧倒的多幸感!それぞれ喧嘩することなく「みんなみんな生きているんだ友達なんだ」という名曲が脳内再生されるくらい、それぞれが調和しています。
そして私がビールにおつまみまで飲み食いしていたことを差し引いても、かなりのボリューム!本物の料理は満腹という概念を超えてくるので、満腹だけど食べて減ってしまうのが惜しいいう矛盾に苛まれながらも最後まできれいにいただきました!カレーとクラフトビールの魔力、恐るべし

 

料理にお酒、お店の空気も良し!知っていれば誰かに自慢できる素敵空間◎

内田橋商店街という昔ならではの商店街に静岡県からやって来た2つの武器を持つお店。ビールが好きな人、カレーが好きな人にはもちろん足を運んで欲しいですが、ただお酒と料理が美味しいだけでなく、それへの並々ならぬこだわりを感じました。

「ねぇ、黄昏リリーってお店知ってる?」と知っているだけで自慢できるようなお店だと思います!内田橋でクラフトビール片手にカレーを頬張って黄昏る、そんな日が増えてもいいのではないでしょうか?

カレーとクラフトビール、2つの武器を持った「黄昏リリー」さんへぜひ足を運んでみてください!

INFORMATION

店名:

黄昏リリー

住所:

名古屋市南区内田橋一丁目5番10号

営業時間:

[水〜金]15:00〜22:00
[土・日]12:00〜22:00

定休日:

月曜日、火曜日

一人当たりの予算:

¥2,000~¥3,000

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。

WRITTEN BY
にしむー

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大食い選手権2021 優勝

大食い選手権2021 優勝

「ナゴレコ編集部で誰が一番大食いなのか?」という企画において、優勝したライターに贈られる賞です。

連載賞 2021

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メディア上にて、連載記事を担当したライターに贈られる賞です。

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2022年にメディア上にて、連載記事を担当したライターに贈られる賞です。

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殿堂入り2024

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2024年までに通算100記事を達成したライターに贈られる賞です。

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